人は誰かの為にこそ頑張れる!自分には誰がおる? 
今日の言葉:人は誰かの為にこそ頑張れる!自分には誰がおる? 
 
いつもありがとうございます。 
今日は少し長文になりますけれども、大事なテーマかと思うので是非お付き合いをお願いしたいです 。 
 
今日の言葉にある「人は誰かのためにこそ頑張れると」いうことですけれども、人間というのは自分のためだけに頑張ることよりも「誰かのためこそ頑張る」ことの方が潜在能力を発揮するというか力を発揮するという風に言われています 。 
 
あの「マズローの欲求五段階説」にある一番高い欲求の「自己実現欲求」のさらに上にですね。実は「他者貢献欲求」というものを晩年マズローは定義したという風にも言われているようです。 プロ野球界では「親孝行な人間ほど成功する」という風なセオリーがあるようです。 
 
例えば母子家庭に育った選手がなんとかお母さん幸せにしたいという思いからプロ野球で成功するという話を何度か聞いたことがあります。 あの有名な野村克也監督。選手としてはもちろん監督としてもヤクルトや楽天で優勝経験された名監督ですけれども、野村監督も実家が貧しくてなんとかおかあさんを幸せにしたいと思いで頑張ったというエピソードがあります。 
 
その誰かのためにという対象は誰でもいいんだと思います。 子供の頃、自分のことを可愛がってくれた恩師、あるいは自分を育ててくれた祖父母や両親に、あるいは子供の為、女房の為、お客様の為、社会の為・・・何か自分以外の大切な存在に気付いた時に人間というのは素晴らしい能力を発揮するんじゃないかなと思ってます。 
 
そこで、僕が研修や講演会などで、時にお伝えする人間学を学ぶ月刊誌「致知」の記事より下記の文章を紹介します。
 
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「お母さんから命のバトンタッチ」 鎌田實(諏訪中央病院名誉院長) 『致知』2012年7月号 読者の集いより 
 
僕が看取った患者さんに、スキルス胃がんに罹った女性の方がいました。 余命3か月と診断され、彼女は諏訪中央病院の緩和ケア病棟にやってきました。 ある日、病室のベランダでお茶を飲みながら話していると、彼女がこう言ったんです。
 
「先生、助からないのはもう分かっています。だけど、少しだけ長生きをさせてください。」 
 
彼女はその時、42歳ですからね。そりゃそうだろうなと思いながらも返事に困って、黙ってお茶を飲んでいた。 すると彼女が、「子供がいる。子供の卒業式まで生きたい。卒業式を母親として見てあげたい」と言うんです。 9月のことでした。彼女はあと3か月、12月くらいまでしか生きられない。 でも私は春まで生きて子供の卒業式を見てあげたい、と。 子供の為にという思いが何かを変えたんだと思います。
 
奇跡は起きました。
春まで生きて、卒業式に出席できた。
 
こうしたことは科学的にも立証されていて、例えば希望を持って生きている人のほうが、 がんと闘ってくれるナチュラルキラー細胞が活性化するという研究も発表されています。 おそらく彼女の場合も、希望が体の中にある見えない3つのシステム、内分泌、自律神経、免疫を 活性化させたのではないかと思います。 さらに不思議なことが起きました。 彼女には2人のお子さんがいます。上の子が高校3年で、下の子が高校2年。 せめて上の子の卒業式までは生かしてあげたいと僕たちは思っていました。 でも彼女は、余命3か月と言われてから、1年8か月も生きて、2人のお子さんの卒業式を 見てあげることができたんです。そして、1か月ほどして亡くなりました。
彼女が亡くなった後、娘さんが僕のところへやってきて、びっくりするような話をしてくれたんです。 僕たち医師は、子供のために生きたいと言っている彼女の気持ちを大事にしようと思い、 彼女の体調が少しよくなると外出許可を出していました。 「母は家に帰ってくるたびに、私たちにお弁当を作ってくれました」と娘さんは言いました。 彼女が最後の最後に家へ帰った時、もうその時は立つこともできない状態です。 病院の皆が引き留めたんだけど、どうしても行きたいと。 そこで僕は、「じゃあ家に布団を敷いて、家の空気だけ吸ったら戻っていらっしゃい」と言って送り出しました。
 
ところがその日、彼女は家で台所に立ちました。 立てるはずのない者が最後の力を振り絞ってお弁当を作るんですよ。 その時のことを娘さんはこのように話してくれました。 「お母さんが最後に作ってくれたお弁当はおむすびでした。 そのおむすびを持って、学校に行きました。久しぶりのお弁当が嬉しくて、嬉しくて。 昼の時間になって、お弁当を広げて食べようと思ったら、切なくて、切なくて、 なかなか手に取ることができませんでした」
 
お母さんの人生は40年ちょっと、とても短い命でした。でも、命は長さじゃないんですね。 お母さんはお母さんなりに精いっぱい、必死に生きて、大切なことを子供たちにちゃんとバトンタッチした。 
 
人間は「誰かのために」と思った時に、希望が生まれてくるし、その希望を持つことによって 免疫力が高まり、生きる力が湧いてくるのではないかと思います。
 
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さあ、自分には誰がおる?